ブッポウソウの子育て観察   
 制作年月日2015年8月
 
   ブッポウソウ
学名:Eurystomus orientalis calonyx
分類:ブッポウソウ目ブッポウソウ科
日本には夏鳥として飛来し、本州、四国、九州で繁殖し、冬は東南アジアに渡る。多くの県で絶滅危惧種に指定されている。
 2015年7月9日、発見のきっかけは我が家の向かいの山で鳴くアカショウビン。姿を見ようと、もしかしたら巣穴を見つけられるかの知れないと望遠鏡をのぞいていた時のこと。
突然視の中に現れたブッポウソウ!、思わずでた言葉は「まだ居ったのか!」だった。三週間ほど前にも近くで見かけたことがあったのだ。以来見かけず何処かへ行ったのだと思っていた。止まっている木はほぼ同じ、時々下方に降りていく。一羽が下から上がってくると、止まっていた一羽が交代で降りていく。約90分間隔で現れる。抱卵中だろう。
 
後方の樹洞からアカショウビンが飛び出すのを期待して観察していた。この樹洞はアカショウビン・ブッポウソウ、どちらの巣穴でもなかった。
 
 
    ブッポウソウの巣は松食い虫の被害で枯れた松、そこにキツツキの開けた穴、そのどれかだろう。
 穴は結構多い。可能性のある穴を見つけると数時間見つめる。抱卵中は巣穴へので出入りは少ないはず
 良く止まる木で見かけることが多くなった。ヒナが孵ったに違いない。

2015年7月19日
 全体を見渡せる対岸の農道から探すこと数日、やっと見つけた巣穴、親鳥が餌を運ぶ姿を確認する。
 農道から巣穴までの距離は300m近くあり、見える範囲も2mも横に離れると見えなくなる。

 もっと接近して観察できる場所を探さないと話にならない。
 
 
 
2015年7月21日
  やっと見つけた観察場所は小さな谷をはさんで巣穴までの距離は70m前後だろう。
 知人の愛鳥家に連絡し、指導を受けながら観察を始める。

20215年7月22日
 親鳥がオニヤンマと思われるトンボを持ち帰りヒナに与えているようだった。

 撮影はできなかったが一時親鳥が3羽飛び回っていたこのような状況は遠方から観察していたときにも見られた。
 愛鳥家の話では隣町のブッポウソウの営巣でも、4羽の成鳥が一時飛び回っていたそうだ。

 
 
   ある愛鳥家によると二羽以上の親鳥がいる理由として、繁殖行動のできなかった個体、或いはカップルが子育てに加わろうとしている云々。
 また、昨年の子供が親と一緒に飛来、営巣をはじめた親鳥は子に親離れを促しているのかも知れないという。おそらくは後者のほうのように思える。
いずれにしても迷惑なようで、さかんに追いかけ排除しようとしている。


 ←蝉を持ち帰った親鳥 
 一度巣穴をのぞいたがすぐに近くの枝に移りその後10分以上この枝に止まっていた。もしかしたらヒナは睡眠中?
 
 
 
  2015年7月29日
はじめて巣穴からヒナのクチバシと頭部が見えた。 

←2015年7月30日
親のクチバシの色とは違い、白っぽい。
兄弟を踏み台にして、巣穴から顔をだしているのだろうか?
 1時間以上親鳥が見えないかと思えば、数分間隔で何度も餌を持ち帰り与えることもある。餌となる昆虫の活動がそうなのかも知れない。

 午後も観察した愛鳥家の話では、2羽のヒナが顔を出したそうだ。
 
   
   改めて知った鳥の撮影の難しさ、ピントが合わない、タイミングがつかめない。ポケットカメラ程度の貧弱な装置ではさらに難しすぎる。

←親鳥は一度近くの木に止まり、巣穴に舞い降りる。
口を開けて待つヒナに餌を与えるのはほんの一瞬。はじき返されるように反転して飛び去る。

 ヒナは体の半分ほどを出すこともある。そのまま巣立ちをするのかと思うほどだ。 


 愛鳥家によると巣立ちは近いという。
 
   
  2015年7月4日
 巣穴から2羽のヒナが見える。2羽のヒナの成長には差がある。育ちのいい一羽は今にも巣立ちしそうなほど体を巣穴から乗り出すこともあるが、小さい方はまだ小さいようだ。

 親鳥が餌を持ち帰り与え、はじかれるように飛び去るときは、この大きいヒナの方に餌を与えているときのようだ。大きいヒナはいつも待ちかまえているからだ。
 
   
  2015年8月6日
 親が頻繁に餌を運ぶ、愛鳥家は巣立ちする前に多くの餌を与えるという。
写真撮影直後(09:45)手前の一羽が巣立った。まさに目標の枝を見つめているのだろう。

 その後も残った子も巣穴の縁に足をかけ、今にも飛び立つかと思われたがついにこの日は一羽のみの巣立ちだった。

 驚いたことにヒナは2羽と思われていたが、一羽巣立った後にもう一羽頭を出したのだ。3羽は確実に育ったようだ。
 
       2015年8月8日 10:58
 第二子巣立ちの瞬間、巣穴の縁に足をかけ前のめりになったかと思うと飛び立った。
 第一子の場合は親が巣立ちを促すかのように近くで鳴いたが、第二子は親の泣き声に促される様子はほとんど無かった。
 飛び出してやや下降しそこからはほぼ水平に約30mほど離れた枝に移ったようだが、視界をさえぎられその姿はその後確認できなかった。

 第三子の様子が気になったが午後からは観察できなかった。愛鳥家によるとその後第三子も姿を見せ、親鳥も給餌し育ちも十分の様子だったという。

 
         
   
 
 2015年8月9日 11:02
 この日盛んに餌を運んでいたが、大きく開いたヒナの口の中に餌を置かずに飛び去り、近くの木に止まり親鳥が食べた。巣立ちを促す行為なのだろう。
 
 親鳥が樹上から見守るなか最後まで残っていたヒナは巣立った。他のヒナとは違う方向だった。
観察している私たちの方に向かってきた。緩やかにカーブし、右手前方20mほどのところにある木に止まったらしかったが、その後姿は確認できなかった。

親鳥は盛んに飛び回り鳴いていたが、子を確認したのか鳴かなくなった。
 
   
   暑い熱いブッポウソウの子育て観察は終わりです。
とは言っても時折下界から観察します。良く止まる木に親子の姿が見られるとうれしいのですが・・・!

 次の日(10日)10時頃、対岸から良く止まる木に親鳥が居る。飛び去った後を追うと葉のある松の木に降りた。そこには一羽の若鶏も居た。大きさ・毛並みなど親と区別はつかない。ただクチバシの色がオレンジ色ではなく白っぽいだ。
まもなく飛び去ったが、それ以来鳴き声もしなくなり姿も見なくなった。

 
 
 
    ←ブッポウソウの営巣した森。

 2015年8月19日
 6時50分、久しぶりに聞くブッポウソウの鳴き声。すでに渡りのために南下したのかと思っていたが、営巣していた親子のようです。なぜか飛び回り枝に止まりまた飛び回る。同時に四羽までは確認した、その間の時間は約5分ほど、やがて森の中に消え鳴き声もだんだんと聞こえなくなってきた。
 営巣時にはよく高い枯れ木に止まり、見渡していたが今はそのようなことはなく、親子共々森に姿を隠しているように感じる。急に鳴き出し飛び回った理由はわからない。 我妻は南への旅立ちを知らせたのだと言うが、勝手な想像だ!おそらく何らかの異変があり騒いだのだろう。
 このとき見た二羽の若鳥はクチバシの色は巣立ったときと変わらなかった。

 
 

追加
  2015年8月27日 
16:00頃突然耳に入ったブッポウソウの鳴き声、倉庫から出て方向を確認すると、対岸のの森から我が家の上を飛び越え、
ブッポウソウは集落側の造林地の中へ消えた。この頃 夏鳥達の鳴き声も聞こえなくなった。南への旅立ちはまだなのだろうか?
 
 
 
この観察の動画はYouTubeにもアップロードしています。