盛太ヶ岳トレッキングレポート
吉賀町・エコビレッジかきのきむら共催、秋のトレッキングは平成19年10月28日盛太ヶ岳(もったがだけ)縦走コースで行われた。
集合場所に向かう途中正面に見えてきた盛太ヶ岳は、雲海に浮かび気高くそびえている。思わず車を止めシャッターを押す。
昨夜まで降っていた雨は嘘のようで、快晴に恵まれすばらしい山行になる予感がする。
午前7:15分「なつめの里交流会館」到着、すでに多くの人が集まっている。
に集合、ここは春の恋路山トレッキングでも集合場所になったところだ。
庭の一角になつめの木が植えられ多くの実を付けている。
出発式はここで行われ、ここからマイクロバスで登山口まで移動する。
予定されていた一般的な登山口からのルートは、途中にスズメバチの巣があるらしく、急きょ変更され別の林道から入ることになった。
田中幾太郎さんの話はいつも面白い。ルートの説明注意などのあと各自準備運動をしていざ出発。
8時38分、総勢44名はゆっくり、ひんやりとした秋の空気を感じながら、ゆっくりと歩き始める。

林道沿いは紅葉の始まった樹木も多く見られる。またツリバナ、ガマズミなども赤い実を付け彩りを添えている。
ナツハゼも完熟した実を付ている。この実は甘酸っぱくおいしい。初めて食べる人も多く、そのあじに気に入った人も多かったようだ。

作業道がなくなると一列になり山頂を目指す。山頂まで1900mの標識を見て進むこれまでは緩やかな裾野だったが、これからはだんだんと険しくなる。

9時50分最初の展望所、ここからは抜月、田丸、高尻、木部谷地区などが展望でき、額ににじんできた汗を拭きながらしばらく展望を楽しむ。
トロイデ火山のこの山は山頂近くは急登になる。笹の刈り払われた道を一歩一歩踏みしめながらゆっくりと登って行く。
立ち止まり振り向くとそこには、先ほどの展望所からの展望とは比較にならないほど展望が開け思わず感嘆の声がでる

予定通りの11時ちょうど山頂到着。天気は快晴!雲一つない青い空にウリハダカエデの紅葉がいっそう映えている。
山頂では展望を楽しむ者、散策する者などそれぞれ。お堂、石仏、金属の仏像はかつてここが崇高な信仰の場であった証、大正の年号が見られることからその時代、多くの人が参詣に訪れたのだろう。
「この重量のある物をどうして運び上げたのだろう?」と言う声が聞かれる。

このあとそれぞれ好きな場所に陣取り、最高齢の85歳で連続参加の太田さんの音頭で乾杯!弁当を広げる。
あちこちから聞こえるのはみな楽しそうな話し声。
昼食が終わりくつろぐ一時、自己紹介が行われる。今回が初めての人、何度も昇った人、同じ山でも登るたびに違った感動を与えてくれると言う人、まさにその通りだ。

田中幾太郎さんは「わしゃぁ、うたを唄う」と歌い出した。はじめて聞く唄だ。私たちとは反対の方向に向かい、目前に広がる山々の精霊たちに語りかけるかのように朗々とうたう姿は、本当に彼は山々の精霊たちと会話しているではないかとさえ感じた。
(詩の内容は?でした(^_^;))
下山予定時刻は12時10分だったがすでに時間は過ぎている。下山は南側の尾根を下る。
この下山ルート今は踏み跡こそないが、かつて参詣のための道だったようで、所々に石仏が祀られておりその数から表参道だったと思われる。
一部に笹が刈られずに残された箇所がある。ヤブコギを体験するために刈らずに残してあるのだ。背丈ほどの笹をかき分けながら「クマになった気がする」の声も聞こえてくる。確かにクマも通るに違いない。この尾根の造林地の中には「クマの皮剥」が見られる。


(「クマ剥ぎ」:これは熊がスギ、檜などの針葉樹の樹皮を剥ぐ行動で尾根筋のみに見られる。詳しい理由はわからないが、田中幾太郎さんは「人間の自然破壊への抵抗じゃ」と言う。)
14時20分出発式のあったなつめの里交流会館に全員無事下山。
地元の人、スタッフの暖かいもてなしに感謝しながら熱いうどんやお汁粉をいただく。

心地よく疲労した体にはこれらはありがたい、すぐに疲労回復し爽快になる。
いつの間にか解散の時がくる。例によって幾太郎さんの提唱で盛太ヶ岳賛歌が合唱される。今日一日あたたかく受け入れてくれた盛太ヶ岳に向かい・・・
♪♪盛太の御山よごきげんよろしゅう♪また来る時にも笑っておくれ♪♪


「良かった」「楽しかった」「また会いましょう」そんな会話を交わしながら、またあちこちでそんな声が聞かれる中駐車場へと向かう。