我が家の焼き米作り
2007年9月1日

懐かしい焼き米(やきごめ)、昔から日本各地で作られ親しまれてきた焼き米、長期の保存が可能であり、またお湯を注ぐだけで食べられることから、インスタント食品でもあり、非常食としても利用できます。
焼き米は広く各地で同じ物をそう呼ばれていることから、かつて戦にも携帯食料として持って行ったのだろうと考えられる。(勝手な私考)

水田の用水取り入れ口などは、冷たい水が入ってくるためにどうしても熟するのが遅れる。そのような完熟前の稲、あるいは春、種子の残り(もちろん消毒などしてないもの)を利用して作られたという。現在では玄米を水に浸しそれを利用して作る方法もあるようです。
作り方は所によりあるいはそれぞれの家によって、作り方、味も微妙に違いがあるようです。

この焼き米も今では知らない人も多いようです。我が家でも10年ほど前から毎年、人に色々と聞きながら作っています。
以下はその我が家流の作り方を記録したものです。

先日、用水取り入れ口付近の、まだ完熟していない稲を刈り取った。今日は稲束を近日の稲刈りに備え、整備済みのコンバインを持ち出し脱穀し籾をとる。

籾はさらに水洗いし、水に浮いた未熟なものを取り除き大きな釜で煮る。
直接釜で炒る方法もあるが、一度蒸すか煮た方が食べるとき早く軟らかくなると言うことで、我が家ではこの煮る方法をとっています。
妻の要求で急きょ鍋ぶたも作ることになる。あり合わせの板切れでなんとかフタらしい物を作る。
籾が割れて米が見えるほどになるまで煮たあとは、ザルにあげて水切りをする。
この釜は直径66pで我が家伝来の物、昔は豆腐作り、コンニャク、お茶煎り、大勢の客がある冠婚葬祭の料理など、必要なときに庭先に据え付け薪を燃料に使っていた。
特に珍しい物でもなく、昔はどこの家にもあり同じように使っていた。
今ではほとんどの家で倉庫の片隅、軒下などに伏せてあるのが普通なのだろう。

我が家ではこの釜は今でも現役で、必要なときに使っている。
今年の春はフキがたくさんとれ、佃煮にして保存する事になり使用した。出来映えは?と言うと、なぜか真っ黒いツヤのあるフキの佃煮のできあがり!。聞けばわざわざ古クギを入れて煮る人もいるらしい。この釜で煮るとその必要はないですね。
時間があれば煮上がった物を広げ、天日で乾燥させると良いのだが水切りが済むとすぐに「炒り」にかかる。
一度に多量炒ることは難しい、数回に分けて炒るのだが、この作業は手間がかかり根気のいる作業なのだ。
急きょ作った混ぜ板?、柄が短いとかまどの熱で熱い!。
長い柄(鍬の柄)にステンレスの板をスコップ状に切り取り付ける。これはすぐれもので、適当にしなるステンレス板は釜の底に沿ってしなり、底から返して焦げ付きを少なくしてくれる。
焼き米」と言うが実際は「炒り米」、暑い中での作業は過酷だ。
交代しながら炒り続ける、夫婦共同参画事業です。
火加減、量によって違いはあるが、一釜炒るのに2時間近くかかる。すっかり日が落ちて暗くなった午後7時前、合計3釜の作業を終え本日の作業は終了。
釜からすくい取り木製のモロブタに入れ冷ます。プラスチック製のモロブタと違って高温でも大丈夫です。試しに水分計で水分をはかってみると14%ほど、これなら長期間の保存も可能です。

ちなみにモロブタは、このあたりで使う言葉かと調べてみると、各地で使われているんですね。方言かと思っていました。


昨日炒り上がった籾を取り除く作業に入る。量が少ないのでもみすり機は使用できない。古い循環式精米機で籾ガラ取り除く。これは「焼き米」専用に使っているが、籾から精米できるタイプではないので、時々籾殻を取り除かなければならない。適当に米と籾殻が分離した頃取り出し唐箕にかけ、籾殻を取り除きさらにもう一度精米機にかける。

この作業、昔は臼の中に入れ杵でついたと聞いた。石臼も杵もまだ我が家には残っている。来年は杵でつくのもおもしろいなと思う。
長時間精米機にかけると白米になっておもしろくない。籾が分かれた頃を見計らい、さらに取り出し唐箕にかけて選別する。焼き米は玄米に近い状態のほうが良いと私は思っている。
唐箕(とうみ)、名前からして唐の国から伝わった物なのだろうか?。
箕(み)は柄のないチリトリを大型にしたような物で、ゴミの混ざった穀物を入れ、箕を上下に動かして自ら風を起こし、ゴミを前方に飛ばしてより分ける作業をする物。
唐箕は手で回して風を起こし、比重の違いでを利用し、また調整用の板4カ所操作することによって、アブラナの種のような小さな物から、大豆のような物までの選別をすることができる。選別は主にゴミとの分別のほか、未熟な物との分別なども、比重の違いでより分けることができる。
我が家にもいつの時代の物かは不明だが一台ある。これを古い洗濯機のモーターで回すようにした代物でこれでも現役。
唐箕で選別した物をさらにおろし網で小さな物を取り除き「焼き米」の完成です。よく炒れているので、香ばしい香りがします。
(注:骨董品ばかりで作業していると思われそうなので、参考までに・・・、マイコン計量器付きの選別機その他もあります!(^_^;))

できあがった焼き米は焼き米であっても今年の新米、神棚・仏壇に供えた後に試食タイム!
40〜50gほどをカップに入れ、熱〜いお茶または熱湯をたっぷり注ぐ、カップの上にふたをして軟らかくなるまでは10分以上置いた方がいいでしょう。
味付けは塩を少々、好みで刻みワカメや砂糖を入れる人もいるようです。
ちなみに家内は「焼き米にはぜったい砂糖を!」の文化圏で育ったみたいです。
香ばしい香りが漂います。スプーンで一杯口に入れる。歯ごたえのある食感、遠い昔の記憶が脳裏によみがえります。

焼き米ができると朝夕食時、ご飯を減らして食べます。
玄米に近いためか体調も一段と良くなるようなのは、気持ちだけではないようです。