モクズ蟹の思い出 その1
我家の父は、大正生まれ、それも限りなく明治に近い。
「男子厨房に入らず」は、常識中の常識。
その父が、1度だけ、なんと!長い菜箸を持って厨房を右往左往したことが有りました。
それが、モクズ蟹の為だったとは・・・。
高津川で獲れたモクズ蟹
モクズ蟹 その2
我家での食べ方
モクズ蟹の美味しさは、なんと言ってもカニみそ!!
旨みたっぷりの濃厚な味、
特にカニの体の真ん中辺りに集中しているプルプルっとしてアブラのこってりとしたみそ!!
あのオレンジや黄色やからし色のいろんな色が、ぽよよ〜んぷるんと体の真ん中に集まって
スプーン(モクズ蟹は、体が小さいのでティースプーンでお願いします。)でそこをぱくり!!
服に飛び散ってしまったら洗濯してもなかなか取れないので汚してもいい服で食べましょう。
このみそは、そのままで美味しい!!!!
中には、カニ酢を付ける人も。
(ちょっぴり醤油とほんの少しの砂糖も隠し味に加えるとカニ酢も もっと益田らしくなります)
我家では、普通の米酢と砂糖と醤油の絶妙なバランスの酢醤油を母が、作ります。
でもみそには付けず、身の所を食べる時に使います。
みそは、真ん中だけでなく甲羅の隅々にもべったり付いています。
それは、オレンジ色した歯ごたえのあるもので
もしかしたらみそと言わないのでしょうか?
(ここは、佐々木さんか田中さんに専門家としてのお知恵を拝借したいです。)
真ん中のみそと甲羅にへばりついているみその味とが、違うのがこれまた素晴らしいモクズ蟹です。
身は、余りないから食べないと言う方もいますが、我家ではたべます。
箸で丹念にほじくり出します。
少しくらい骨?とは言いませんね。殻?あっ、殻といいますかね。
少しくらい殻が身と一緒に入っていても柔らかいので一緒に食べても美味しいです。
それに殻には、キチンキトサン(数年前から健康食品にもなっていますね)が、含まれていますから
健康にいいと思えば、美味しさ倍増です。
ワイルドな方は、みそを食べた後の身は、がぶり!口に頬張ってよーく噛んで美味しさを味わってください。
さて、我家では、もう一つ大切な食べ方があるのです。
まず、玄関の鍵を閉めます。
こうしないと来客の多い我家では、食べている最中に何度も手を洗い口を軽くゆすいで
玄関に出なければならなかったからです。
それから、部屋にクーラーをかけテレビを点けます。
そして心置きなく手を使い箸を使いまた、殻をしゃぶりながら
夏の甲子園決勝戦を見ていました。
因みに、このシュチュエイションは、私が中学生の頃だと思うので
既に、モクズ蟹はその頃、秋から夏の終わりに移っていたようです。
毎日食べられる物ではなかったので、美味しく楽しく食べる時は、
このようにして食べたのが、我家の食べ方、
そして私のモクズ蟹の思い出でした。
皆さんは、どんなふうに召し上がっていましたか?
味噌汁のだしのみに使っていた、などという不届き者の声も聞いたことが有りますが、
それは、ふんだんに取れた頃の話でしょうか?
次回は、東京で出会ったモクズ蟹の食べ方をお伝えします。
高津川で獲れた天然鮎