タランチュラ事件


2060年に惑星ネメシスで、ブラッド・タランチュラとネメシスの先住民族が起こした一連の事件。
ブラッド・タランチュラとネメシス政府の一部の過激思想も持ち主が引き起こした事件だといわれているが、それはネメシス政府と新統合政府が発表した偽りであり、両政府によって真実は大きくねじ曲げられている。


事件の真実の全ての始まりは、別の惑星でプロトカルチャーの遺跡が発掘されたことがきっかけであった。
その惑星で見つかった遺跡には、一部のプロトカルチャーが現在の惑星ネメシスと思われる遺跡に移り住んだことが記されてあった。
惑星ネメシスには、先住民族メビュウムが存在していたが、ネメシス政府も新統合政府もその存在を否定し続けていた。
それは惑星ネメシスへの移住が開始された後、ネメシスに先住民族がいることを知った政府は、軍を使いメビュウムをネメシスの辺境に追いやってしまい、その迫害が現在も続いているからだった。

見つかった遺跡の解析が進みメビュウムの存在がおおやけになれば、現在もメビュウムへの迫害が続いていることもおおやけになってしまう、そのことを危惧した新統合政府は、ネメシス政府に惑星ネメシスの辺境にいるメビュウムの皆殺しにし、メビュウムの存在を完全に消し去るように指示を出す。

しかしメビュウムを抹殺するに何らかの理由が必要だったネメシス政府は、買収して情報を政府に流させていたブラッド・タランチュラのメンバーを使って、自分たちの境遇に不満を感じていたメビュウムの若者たちを煽動し、メビュウムがブラッド・タランチュラと協力関係があるように仕立て上げる。

ネメシス政府のもくろみは半ば成功しかけ、ネメシス統合軍の防衛部隊によって、メビュウムの殲滅作戦が決行することが決まる。
しかし、そこから事態はネメシス政府のもくろみから大きく外れ出す。

父親にかわって新たな族長となったメビュウムの女性、そして人気グループWINGの存在が事態の流れを大きくかえていく。

メビュウムの操るゾアとの戦いで機体が破壊され、メビュウムによって助けられた防衛部隊の2人のパイロットは、それをきっかけにメビュウムと交流をもつことになる。
その交流によってメビュウムが自分たちと何もかわらない人類であることを知ったパイロットたちはメビュウム殲滅作戦に異を唱え、メビュウムの新たな族長となった女性と協力し、軍とメビュウムの戦いを止めることに成功する。

メビュウム殲滅作戦が中止されたことを知ったネメシス政府は、自分たちの都合の悪い部分を隠し、ゾアによる襲撃が全ててメビュウムによるモノで、メビュウムは悪しき蛮族だとネメシスの民衆に捏造した情報を流す。
その捏造された情報を信じたネメシスの民衆たちは、メビュウム殲滅作戦を中止した軍に抗議を始め、メビュウム殲滅作戦の再開をうったえてくる。

しかしWINGのがコンサートの中でメビュウムへの迫害の真実を告げたことや、そのコンサートにメビュウムの新たな族長が出演し、過去の地球人とメビュウムの歴史を承知の上でメビュウムに住む地球人やゼントラーディー人たちと共存していきたいと告げたことで、事態はいっぺんする。
WINGのメンバーは、メビュウムと交流をもった2人のパイロットと旧知の間柄であり、その関係を通じてメビュウムの人たちと交流があったため、古くからの友人と新たに友人となった人たちを助けるため、WINGは自分たちのコンサートを使ってネメシスの民衆に真実を告げたのだ。

WINGのコンサートの出来事は瞬く間にネメシス全土に広がり、ネメシスにメビュウムという先住民族がいたこと、そのメビュウムを追いやり惑星に移住したことを知ったネメシスの民衆は、メビュウムに対して振り上げていたコブシを降ろし、今度は政府に対し非難を始める。

それと同じころ、ブラッド・タランチュラでは、政府に情報の横流しを行なっていた者たちの裏切りが発覚、そのモノたちの粛正が行われていた。
政府によって自分たちが利用されたことを知ったブラッド・タランチュラのリーダーは、政府への大規模テロを決意、裏切り者たちが組織の情報を政府に流していた情報ネットワークを逆に利用し、開発・テスト中であった新型VDの試作機であった2機のYZ‐]を強奪する。

そして、WINGのファイナルコンサート当日、ブラッド・タランチュラはYZ‐]を改良して完成させた2機のファントムを使って大規模テロを決行、ネメシス・シティの中心部にあるネメシス政府本部を襲撃する。
このブラッド・タランチュラの大規模テロは、防衛部隊のDアームズとFフォースの連携によって鎮圧され、ブラッド・タランチュラのリーダーを始めとした組織の中心人物の大半が死亡・逮捕された。

ブラッド・タランチュラによる大規模テロは阻止されたが、一連の事件の真相とメビュウムへの迫害の歴史が明らかにされたことで窮地に立っていた新統合政府とネメシス政府の両政府は、ブラッド・タランチュラの大規模テロら数日後に、これまでメビュウムへの迫害を認め、メビュウムに正式に謝罪し、元々メビュウムが暮らしていた土地を彼らに返還すると発表する。
それと同時に今回の一連の事件は、ブラッド・タランチュラとネメシス政府の一部の過激思想も持ち主が引き起こした事件だということも発表し、ネメシス政府大統領は責任をとって辞任した。

このことを疑問視するメディアも多くいたが、事件の詳細説明とメビュウムへの謝罪が同時に行われたことで、両政府へのさらなる追究をするメディアはほとんどいなかったのである(政府による圧力があったとのウワサもある)。

こうして事件の真実はねじ曲げられ、後の歴史でタランチュラ事件と呼ばれる事件は幕を閉じることになる。