高津川の地名(支流福川川)  
   ここでは高津川のうち柿木付近で合流する福川川のうち松原地区〜柿木地区についての記載です。  
   
   

左右の地図には下記の位置を赤い点、
又はピンで示しています。

 
     
   エンコウブチ 松原地区にあり松原橋上流約130mにある。エンコウが住む岩穴(割れ目)があり、伊豆原まで続いていると言われていた。
エンコウブチの上流部はスジカワで一筋に流れるゆえの地名か?
   スゴウロブチ 菅原淵なのだが発音は記述の通り、松原橋バス停100mほど下流側の駐車エリアの下にある。(松原橋上から撮影)この橋下あたりオキノカワの地名があったのかも知れない。右岸にオキの屋号、左岸にオキノヘヤの屋号があり、古老からオキノカワ云々と言うのを子供物頃何度か聞いた記憶があるが、地名とは思ってもいなかった。  
     
   カアクボ(川窪) 上福川集会所付近から撮影、対岸は松原地区圃場。川が窪地を流れるためそう呼ばれる。下流の河畔にあるエノキの大木があるあたりはクセリと呼ばれ、更に下ってリョウボウシノコブチとなる。    ウシノコブチ(牛の子淵) 菅原地区の集落から離れ右岸側の山の下を流れる。県道上からは見ることが出来ない。地名由来は仔牛が飛び込んで死んだと言う説がある。  
       
   ドウケン菅原地区にありウシノコブチの下流の瀬を言う。地名由来不詳。画像左の集落は古本地区、最下流はニイデで小さな淵と新井ヶ原圃場堰がある地名は新しいイデ(堰)の意味。    マルコ 平野地区にあり福川川にかかる平野橋の約30m下流、改修で川中の岩盤が掘削され浅い淵に変わった。
 
     
   イトノクビ福川八幡宮下、県道のカーブしているあたりの下を言う。事故があり良くないイメージにとられやすいが、イトノクビ(漢字不明)姓の家が近くにあったためついた地名。下流に架かる鉄橋は長五郎橋

   サイカテ 福川地区、小山は三之瀬城山で地名は、近くにサイカチの木が有ったことによる。サイカチは有用木で城との関係があるのかも知れない。
サイカテの上流約50mの所に
トチノキと言われる小さな淵もある。この淵の下流の瀬は二の瀬と呼ばれている。
 
 
 福川の地名について吉賀記は:往古曰干魃の年有て近隣河水晝て田圃作毛不稔す此溢のみ潤水を褒美し是誠の福川也と云へり因て左名と成去は此流源僅一里去て土ヶ嶽に濫觴あり沢々として渇する事無し中古此水を掘抜小野へ落し多くの田地を開く諺に福川の預水也若福川テ損する時は掘伐を塞と云
要約すると:他村へ分け与えても足りるほど水が豊富であることから、「福川」の地名になった。近年にもこの谷の水を簡易水道の水源に利用することになり、同じような契約が成されたという。
この川は下り本郷川となり、上記のイトノクビ下流付近で福川川と合流する。
  
 三之瀬の地名については諸説有り定かではない。単純に3つの瀬があるために付いた地名と言う説。
また、上で記したサイカテの下流の瀬を二之瀬、それなら一之瀬も、長五郎橋からサイカテの間にあったのではと言う説もある。ちょうど三之瀬城山三方を囲み、天然の濠でもある福川川。城を守る一ノ瀬、二ノ瀬、三ノ瀬であっても不思議ではない。現在集落名としての三之瀬は現存するが川の名前で三之瀬は聞くことが出来なかった。ゴミダノフチ(下画)の下流の瀬の西は三之瀬城跡になるので、このあたりの瀬を言ったのではないかと想像する。
 
       
   ゴミダノフチ 福川地区三之瀬地区の境界あたりにある。上流左岸にある圃場はかつては低地にあり洪水時ゴミのはいる田(ゴミダ)でその下(シモ)にある淵と聞いたことがある    ソウエン 三之瀬地区にあり三之瀬橋から上流へ80mほどにある。竹藪となっているあたりに桑園が広がり、この淵もそう呼ばれていた。さらにこの淵の少し上流にはコウゴと呼ばれる淵があるが道路からは見えない。  
 
  当地方はかつて(大正時代まで)筏流しが行われていた。椛谷の鈴ノ大谷山、椛谷山などの国有林から用材を切り出し、筏に組んで河口の高津までリレー式に乗り継がれ運んでいた。用材はこのあたり三之瀬まで溜め流しされ、ここで筏に組まれた。樹種は松、栂(ツガ)、栗、竹などで松は50〜60本で一組の筏になった。
筏はハナイカダ、オオアキ、ホンダチ、オオガカリの四部分からなり、前のハナイカダに一人乗り櫂で方向を変える。後ろのホンダチにも一人いて竹の竿を操り筏を流した。この二人一組で「一パイ」と言った。(柿木村誌より)
 かつては水量も豊富だったといい、現在の川の水量からは想像すら出来ない。
  
 
       
   ニゴリ 三之瀬橋下流100mほどにある。地名由来不詳だが、深くて底が見えないからなのか、あるいはこの上流で流れ込む福川長崎谷が、鈩の操業で濁った水が流れ出ていたのかも知れない(これはあくまで想像にすぎない)
   サカノシタ 三之瀬バス停から250m柿木方向へ行った道路下を言う。
かつては緩やかな坂になっていた。


 
     
   コドブ 画像手前の淵を言う。亀田バス停から県道を約280m福川方向に行った県道駐車エリアの下、画面中央付近はサイノカケと言われる淵があり、更に下流に行くとオキノハラ名の河川敷が広がる。    大淵(オオブチ) 亀田地区にあり対岸に渡る亀田橋の上流にある。また亀田地区の集落の沖合にもなる。

 
     
   クミチ(汲地) オオブチとワイノフチの中間あたりにあり、倉庫の向こうはかつて水を汲みに降りた場所と言う。 赤い橋は亀田の対岸へ渡る亀田橋でその上流はオオブチになる。    ワイノフチ 伊豆原バス停から県道を約280m福川方向へ行った道路下にある。ここで流れは右へ大きく歪曲する。地名由来はこことから付いたと思われる。   
 
 吉賀記の言う「天文の末山田十郎と云浪士落来り後岩山を城郭に頼暫住す折節吉見家より穿鑿強く隠事を得す入水して死去則十郎淵と云」
このあたりが十郎淵の筈なのですが、状況の変化で消滅したようです。左上の「クミチ」あたりに十郎淵があったと言うことです。
  
 
       
   シミズガセ(清水ヶ瀬)伊豆原地区沖にあり、地名はとびのこやまから流れ出る清水(伏流水)が湧くことによる。    コウジンドウ 伊豆原地区対岸に渡る橋の上流200mほどの所にある。県道からは見えない、地名由来不詳。  
       
   ョウブ 伊豆原地区にあり、県道から離れ大きく迂回した川はまた県道と併走する。地名由来は人の名前、或いは姓に由来すると言うことだ。(県道上から撮影)    シンブチ(新淵) 伊豆原と栗木のほぼ中間の県道下。地名由来は新しく出来た淵の意味。また、別名でメガネとも言われたと言う。かつて道路が岩盤の上までせり出して、そこにアーチ状の水路があり、そう呼ばれていた。  
     
   シオブチ 栗木橋下にあり、このあたり一帯に冷泉が湧き出ておりこの名前が付けられた。この淵は潜ると冷泉から湧き出る炭酸ガスの音が聞こえてくるという。    オオザカイ このあたりは柿木と福川の境界であり、川もこの名前で呼ばれている。  
     
         
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