デストロイド


デストロイドは統合陸軍の提案に基き、宇宙防衛ライン上の惑星・衛星上における拠点直衛兵器として2000年3月より開発が開始された。
海軍・空軍が汎用機開発に絞りこんだのに対し、陸軍はオーバーテクノロジーによる技術進化から、兵器体系を拡げる方針を採った。
このため、各軍事メーカーによる開発競争の末、実に多様な機種が制式採用されることになる。

2009年、巨人族ゼントラーディ軍との開戦時、母艦ダイダロスごと宇宙に連れていかれたデストロイド部隊は、もっぱらSDF-1マクロスの手薄な対空砲火を補う移動砲台としての任務に従事する(艦内市街地の再建作業に駆り出されもする)。巨大宇宙戦艦同士が砲火を交え、衛星軌道上からの砲撃で惑星ごと殲滅するような戦局において、陸戦兵器本来の運用思想は意味を成さなかったのである。

宇宙移民時代に入り、VFシリーズを中心とした運用体制の中で、機動力を欠くデストロイドは相対的に目立たない存在となっていく。
2040年代には旧型機が土木重機に転用されたり、射撃訓練の標的にされたりしている。

しかし、高い対地攻撃能力を持っているデストロイドは、移民した惑星に凶暴な大型生物が存在していたり、その惑星で大規模なテロがあった場合には有効的であることから、一部の惑星で機動力をもつデストロイドの開発が要望され、開発されたのがVDシリーズである。



型式番号は「型式名-シリーズ番号-タイプ」

03シリーズまでが試作型で、04シリ−ズの原型MBR-04-Mk.Iの名称「デストロイド」が全体をあらわす総称となった。系統は主にビガース社・クラウラー社が共同開発した04シリーズと、センチネンタル社・クランスマン社が共同開発した07シリーズがある。04シリーズは主機熱核反応エンジンと歩行制御システムを内蔵する下半身を共通プラットフォームとすることで、量産性・運用性の向上やコストダウンを図っている。例えるならトマホークが主力戦車、ディフェンダーが自走対空機関砲、ファランクスが自走対空ミサイルで、共通シャーシを用いたAFVのファミリー化と同じ発想といえる。


ADR-03-Mk.III シャイアン
(センチネンタル・クランスマン共同開発)

04シリーズの前身といえる初期のデストロイドで、トマホークとディフェンダーの中間型。統合戦争末期の2008年にプロトカルチャー遺跡争奪戦において、統合軍が実戦投入した。

GAU-12 25mm 5砲身ガトリング機関砲×2
RIM-116 4連装ミサイルランチャー×2
(GAU-12とRIM-116は選択式)
7.6mm機銃砲塔





オクトス
(形式番号不明)
(ダイムラー・ハイパースペース社 ルビーン海洋工学中央科学局)

反統合同盟の水陸両用可変デストロイド。反統合支持派のダイムラー・ハイパースペース社とルビーン海洋工学中央科学局の共同開発によって2006年に1号機が完成した。生産コストの関係から生産は少数に留まったが、統合戦争では計92機が生産され、戦争末期のプロトカルチャー遺跡争奪戦にも投入された。

12.7mm連装ビーム機銃砲塔×1
ビフォーズ57mm多用途連射砲×1
8連装ミサイルランチャー×1
対人機銃





HWR-00-Mk.IP
プロトタイプ・モンスター
(ビガース/センチネンタル社共同開発)

HWR(Heavy Weight Robot)-00モンスターシリーズの先行試作型。形式番号はHWR-00-Mk.IP。2007年2月にロールアウトし、統合戦争末期の2008年、プロトカルチャー遺跡争奪戦において、統合軍が1機のみ実戦投入した。

ビガース40cm液冷式液体推薬キャノン砲×4
内蔵式レールガン×2







MBR-04-Mk.VI トマホーク
(ビガース/クラウラー社共同開発)

Mk.IVは初めて制式採用されたデストロイドシリーズの主力機であり、MK.Iの両腕を荷電粒子ビーム砲に置き換え、更なる火力向上を図っている。格闘能力の低下は、胸部ガンクラスターの機関銃やグレネードランチャー、火炎放射器などの近接兵器で補っている。機体前面に各種武装を配し、集中的火力により中・近距離域の敵陸上兵力を殲滅する。

PGB-11 荷電粒子ビーム砲×2
M-89 空冷マシンガン×2
TZ-III ガンクラスター×2
(レーザー砲、機関砲、火炎放射器など)
12連発ロケット弾ランチャー×2
6連発対空自己誘導ミサイル×1





ADR-04-Mk.X ディフェンダー
(ビガース/クラウラー社共同開発)

04シリーズの発展的運用型のひとつで、両腕の2連対空砲から大口径78mm弾を1砲身あたり毎分500発(4門計毎分2,000発)発射可能。弾帯は両肩部の交換式弾倉から供給される。宇宙空間での超遠距離射撃を目標とした精密なレーダー照準システムが搭載されるが、接近されると追尾が追いつかず‘後追い射撃’となってしまう弱点がある。そのため効果的な対空射撃ができたとは言い難い。またコスト面で量産の妨げとなり、機体配備数は伸びなかった。

TYPE966 PFG 78mm液冷高速自動砲
(通称コントラベスII)2連装×2




SDR-04-Mk.XII ファランクス
(マクロス艦内兵器工廠)

地球帰還途中のマクロス内で、防空力補強の応急策として、懐に入られると何もできないディフェンダーの弱点を補うべく急遽開発され、2009年7月にロールアウトした。対空射撃を掻い潜って急速接近する敵機に対し正面からミサイルの弾幕を張るというショートレンジの迎撃が任務である。地対空または艦対空迎撃ミサイルランチャーに相当する。宇宙用とされているが、地上での運用も確認されている。

SHIN-SHM10 短射程高機動自己誘導ミサイル 22発ポッド×2
(通称:デリンジャー22連装ミサイルポッド)





MBR-07-Mk.II スパルタン
(センチネンタル/クランスマン社共同開発)

04系と異なる設計思想をもつ07系は、高出力の反応動力炉1基で駆動する。副動力を除いて軽量化し、重装甲と敏捷な運動性能を両立した。両腕が火砲又はミサイル・ポッドとして機能し、腕の可動部は歩行中の重心バランス維持の補助的な意味合いしかない。デストロイド中では珍しく両手は五指のマニピュレーターになっており、バトロイドほどの器用さは無いものの、物を掴むことぐらいは出来る。腰部の複雑な動力伝達系の故障と主機DT2000シリーズの開発遅延から、04系のようなバリエーション展開は叶わなかったが、理想主義的な高性能はパイロットから評価された。これら07系の設計思想はセンチネンタル社が係わるバトロイドの開発にもフィードバックされた。異星人との肉弾戦を想定した歩兵的機体。Mk.Iに対空火器を付加したのがMk.IIで、のちにMk.Iも全機この仕様に改装された。

TZ-IV ガンクラスター×1
(レーザー砲、機関砲、火炎放射器など)
RQV-10 対空レーザー機銃×2
ビフォーズ12連発近接自己誘導ロケット弾ランチャー×2
CH2 typeD 格闘用クローハンド×2





HWR-00-Mk.II モンスター
(ビガース/センチネンタル社共同開発)

オーバーテクノロジーの恩恵を授かった陸軍が「異星人の巨大兵器を大火力によって撃退する」という大時代的発想のもと、約五年の歳月を費やし開発に固執した史上最大の非軌道陸戦兵器。そのせいか、軍部が本機をいったいどのような局面で使用するつもりだったのか、開発目的が不明確で、保有したいがために開発した感が強い攻撃力はすさまじく、陸上兵器としては随一である。40cm主砲4門には反応弾頭も装填可能で、数個師団による戦略爆撃に匹敵する威力を謳った。しかし285tもの自重で2足歩行するのは極めて困難で、小型の重力制御装置でアシストされても運動性は劣悪である。

液冷式 40cm液体推薬キャノン砲×4
LSSN-20G 3連対地ミサイルランチャー×2




アナベラ・ラシオドーラ(形式番号不明)

6本の脚部を持ち、高い機動性と火力を誇る。GFS-A2複合装甲は35mm機関砲では傷ひとつつけられない程の重装甲である。
ゼネラル・ギャラクシー社地球本社が2040年代に開発した大型の都市殲滅用デストロイドとされており、惑星ネバーで使用される他、クリティカルパスコーポレーションの兵器として太陽系のアステロイド・ベルトに建造中の統合軍基地「セレスベース」に配備されている。



ADR-04-Mk.XV スーパー・ディフェンダー
(ビガース/クラウラー/ゼネラル・ギャラクシー)

ADR-04-Mk.X ディフェンダーを宇宙移民時代の技術で再設計した機体。頭部のレーダーが2053年に開発されたGRU-53に換装され、AVF用の技術を転用したリニア・アクチュエーターを搭載している。射撃支援用AIもアップデートにより目標追従性が向上しており、毎分4,000発の40mm(諸元表では35mmと記載)ガトリング砲弾の連射により、カタログ・データではこの当時の新統合軍で制式採用されている

TYPE966D PFG 二連78mm液冷高速自動砲 " コントラベス II " ×2
M161A3 六砲身35mmガトリング砲 " フィドル "×2




シャイアンII
(形式番号不明)

シャイアンを宇宙移民時代の最新技術で全面再設計した機体。外見は原型機の面影を残しているが、主機が熱核反応炉に換装され、宇宙戦闘を想定したスラスターの増設強化が行われている。主武装は両腕のGE製ガトリング砲と荷電粒子ビーム砲で、両肩にはミサイルポッドを装備している。両腕の火器は火炎放射器に換装可能。

GE製30mm6銃身ガトリング砲×2
マウラーPBG-17 荷電粒子ビーム砲×2
ビフォーズAA/AS-SAM-22対空近接ミサイル
4連装ランチャーMK.16×2






            この他に次世代機が存在している