今日のみ言葉     (2025年2月11日)    


病者の記念日に(ルルドの聖母の祝日)


 カトリック教会では2月11日は「ルルドの聖母の記念日」で、[世界病者の日]という記念日にあたります。病者がふさわしい援助を受けられるように、また苦しんでいる人が自らの苦しみの意味を受け止めていくための必要な援助を得られるように、医療関係者だけでなく、広く社会一般に訴え、祈る日と定められています。

 フランスのルルドで1858年2月11日から18回にわたって聖母マリアが14歳の少女ベルナデッタに出現したといわれています。聖母出現の場所から流れ出る水を頂くと病が癒される奇跡がおこりました。世界中から多くの人々が巡礼し、癒されています。ルルドでは国際医療関係者がおられて、病気の診断と奇跡の認定をされているそうです。これまで説明のつかない病の治癒が約7000件、病気の治癒が奇跡として公式に認定された症例が70件あるそうです。(CAN ルルド, フランス, 2018年2月12日)

 聖書に次のような話が記されています。

イエスは「ガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた」。(マタイ4・23)

ひとりの重い皮膚病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、御こころでしたら、きよめていただけるのですが」。イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、重い皮膚病は直ちにきよめられた。(マタイ8:2−3)

人は病によって肉体のもろさや苦しみを味わうと、心も沈み、不安がつのり、次々と疑念がわいてきます。病の苦しみの意味を問い、すぐに答えを得ようとします。病はその意味についての問いを、信仰においては神に向けられる問いとして投げかけます。それは病の苦しみの新たな意味を見出し、新しい生き方を求めるものですが、容易に納得できる答えを得ることはできません。

また病気の人に寄り添うことは、病で苦しむ人を支え、慰める尊い愛の業にほかなりません。病者や罪によって傷ついた人それぞれに、あわれみをもって寄り添っておられるイエス・キリストの愛のしるしとして、わたしたちは寄り添い続けます。


 このことは、旧約聖書のヨブの姿によく表れています。彼の妻と友人は、彼の苦しみのさなかに寄り添わないばかりか、逆に彼を非難し、孤独と喪失感を増幅させます。あなたが災難や病気になっているのは罪を犯したからだと非難します。ヨブは見捨てられ、だれにも理解してもらえません。しかし、まさにこの究極の弱さによって、ヨブは神と隣人に向かう真正な道を選び、神に向けて執拗に叫びをあげます。ついに神は彼に答え、新しい地平を彼のために開かれます。その苦しみは罰でも戒めでもなく、ましてや神から離れた状態でも、神の無関心のしるしでもないと、神はヨブに悟らせます。そして、傷つき、いやされたヨブの心から、胸を打つ告白が、主に向けてほとばしり出ます。「あなたのことを、耳にしてはおりました。しかし今、この目であなたを仰ぎ見ます」(旧約聖書 ヨブ記42・5)。

 忍耐をもって病を受け止め、病者に寄り添い、体と精神、心の健康・癒しを祈ります。


                           山陰中央新聞 投稿記事 2025年2月23日