今日のみ言葉     (2025年5月25日)    


 教皇フランシスコの逝去と新教皇レオ14世の選出に思う


 キリストは12人の弟子の中からペトロを教会の頭として選ばれました。

 「あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」                                  (マタイ福音書16章13−20節)


 教皇フランシスコは、ペトロから数えて第266代目にあたります。教皇は4月22日、復活祭の翌日に逝去され、26日に葬儀が営まれました。

キリストの弟子ペトロの後継者として、信者からは「パパ様」と慕われていました。教皇は質素で貧しく生き、自ら出向いて弱い立場の人々に寄り添った方でした。教皇に選ばれた年の7月8日には、アフリカから海路でヨーロッパを目指す難民・移民の上陸点・中継地として知られるイタリア南部のランペドゥーサ島へ訪問されていました。トランプ大統領の移民送還計画を批判し、壁をつくるより橋を架けることを説かれました。

 日本との関係では2019年に長崎、広島において、核兵器廃絶による平和の確立を世界に向けて訴えられました。「人類は広島・長崎から何も学んでいない」と。そして、すべてのいのちを守ることの重要性を力強く発信されました。ロシアによるウクライナ侵攻への抗議、イスラエルとガザの戦争停戦の実現を早くから呼びかけていました。また実現できませんでしたが、袴田元死刑囚との面会も予定されていました。

聖ペトロ広場で行われた26日の葬儀ミサには約40万人が集まり、祈りを捧げました。世界各地の政治家や王族らも参列。弔問外交も活発に行われたようです。これまでの慣習と異なり、遺体を安置する棺は質素で、清貧を旨とされた教皇の人柄がにじみでたものとなりました。教皇フランシスコの墓にはスポットライトで照らされた十字架の下に、ラテン語で教皇名「FRANCISCVS」と刻まれた墓石の上に、1輪の白いバラが置かれていました。


 次期教皇の選挙(コンクラーベ)と新教皇レオ14世選出に至る出来事は、マスコミやインターネットのよる報道が連日なされています。

世界各地から枢機卿が参加され、非公開による教皇選挙がシスティーナ礼拝堂で行われました。日本からは大阪高松大司教区の前田万葉枢機卿と東京大司教区の菊池功枢機卿の2人が出席されました。システィーナ礼拝堂の外では、新教皇選出を待ちわびる信者やマスコミ関係者で埋め尽くされていました。新ローマ教皇を決める選挙では133人の枢機卿が投票し、アメリカ出身のロバート・プレボスト枢機卿が新教皇に選ばれました。第267代の教皇名は「レオ14世」と決まりました。

ローマ教皇レオ14世がサンピエトロ大聖堂のバルコニーで多くの信者らを前に、「常に平和と愛を求め、苦しんでいる人々に寄り添う教会でありたい」と最初の言葉を述べられました。新教皇は自らが選んだ教皇名の由来を、産業革命時代のレオ13世を想起し、教会が「新たな産業革命と人工知能(AI)の発展に対応」することを望んでいると話されました。新教皇は2008年、長崎でのペトロ岐部と187人の殉教者の列福式にアウグスチノ会の総長として列席されており、日本をよく知っておられるものと推測できます。


  一人一人が大切にされる世界の実現のため、また現代社会の諸課題に取り組んでいただけるものと期待し、教皇とともに信仰の道を歩んで行きたいと思います。